ライフスキルコーチングの重要性

~指導者・保護者の観点から~

第1回 スポーツで心を豊かに!スポーツで社会を豊かに!!

~ライフスキル教育とは~ 皆さんはじめまして。 亀谷 涼と申します。現在流通科学大学体育会サッカー部で監督をしております。 この度ライフスキルコーチングの重要性を少しでも多くの方にご理解いただきたく、コラムを書かせていただくことになりました。そもそも、サッカーしかしてこなかった私がなぜこのようなコラムを始めることになったかと言いますと、少し自己紹介も交えながら話をさせていただきます。 私は小学校2年生でサッカーと出会い、高校卒業後プロ選手をめざしイタリアに留学しました。結局プロ契約を結べず代理人にクビを宣告され、日本に帰国しました。その後、指導者の道に進むことになるのですが、サッカーに携わることで次第に上手になるだけでは選手の将来が心配、社会が心配という思いが芽生え30代後半で一念発起し心理学を勉強するべく大学に入学しました。そして、現在大学院でスポーツ心理学を専攻し「ライフスキル」に出会うことになったのが始まりです。 子どもたちがスポーツを始める時、動機は楽しいからです。純粋にスポーツが好きで始めることがスタートです。しかし、それが成長とともに「辞めたい」「楽しくない」となっていくのはどうしてでしょう。様々な問題があると思います。私のようにプロ選手になれそうにない、思った通りできない、指導者と合わない、他のことに興味がわいてきた等理由は人それぞれでしょう。そこで我々子どもたちに携わる者にとって指導に際し必要なスキルにライフスキルコーチングがあります。 その前に今日はライフスキルについて話をします。ライフスキルとは、言葉の通り生きる力にきわめて近いとされ、 世界保健機構(WHOWorld Health Organization)が「日常生活で生じるさまざまな問題や要求に対して、建設的かつ効果的に対処するために必要な能力」と定義づけたスキルです。 もともと健康教育では、「知識があれば健康になる」という考え方に基づいて、保健教育でも子どもたちに授業を通して正しい知識を教えることに取り組んできていました。しかし、例えばタバコを吸う場面では、知識がありタバコが人体に悪い影響を及ぼすことが頭では分かっていても、行動を変えられないと言う問題がありました。また、先進国などで社会問題化している青少年の中退・退学、喫煙、飲酒、薬物乱用、性の問題行動などの危険行為防止として、発達段階に応じたライフスキルを身につけさせるべきだと1993年にライフスキル教育プログラムを公表、紹介したのが始まりです。 ライフスキルは土台となるのはセルフエスティームの上に4つの柱があります。目標設定スキル・コミュニケーションスキル・意思決定スキル・ストレスマネジメントスキルの4本柱です。 セルフエスティームとは、自尊感情、健全な自尊心などの意味を表します。自分自身を大切に思い、信頼し、好きになるという自己肯定能力で、そのスキルにより他者(まわりの人)を肯定するのも可能にするので、対人関係スキルによい影響を与えると言われています。周りの大人も、このセルフエスティームに気を配り、育み、互いに高め合えるように配慮する必要があります。 このセルフエスティームの上に先ほどの4つの柱が立ちます。 1.目標設定スキル 何かを始める時、短期・中期・長期と期間をしっかりと定め、実現可能な目標を設定できるスキルです。目標難易度が高くても、低くてもモチベーションが下がってしまいます。程よい目標設定を探すことができるようになることです。 2.意志決定スキル ベースとなるのは、飲酒喫煙や薬物乱用等非行への誘いに対する本人の回避につなげることです。生活する中で、実は選択することは次から次へと起こっているのです。意志決定スキルを高めることで、いくつかの選択肢の中から、最も望ましいと考えられるものを冷静に選択できる能力です。様々な誘惑に対して瞬時に望ましいと考えるものを選択するスキルです。例えばタバコを勧められた場合、「吸う」か「吸わない」かを自分で判断することです。 3.コミュニケーションスキル コミュニケーションとは、人間対人間が互いに意思や感情などの情報を身振り手振りなどを交え伝え合う状況を言います。コミュニケーションスキルを高めるとは、どれだけ話せるかと言った「話すこと」を主に考えがちです。よくコミュニケーションはキャッチボールと言われる通り、投げる(話す)だけでは一方通行になります。ボールを受ける(聞く)ことが互いのコミュニケーションを促進します。従って、聞く技術と言うのもすごく大切になります。コミュニケーションスキルを高めることで、飲酒喫煙や薬物乱用等の非行に対して、人間関係を損なわずに断るスキルです。話すことがそんなに得意でなくても、聞く技術を高めれば、相手の自己開示を促進しコミュニケーションスキルも高められます。 4.ストレスマネジメントスキル 生活している中で、ストレスがかからないことはないでしょう。逆に、全くストレスのない生活は、人々を無気力にしてしまうこともあります。ストレスは全てが悪いものではなく、このように適度なストレスは必要です。 しかし、ストレスの原因を知らず、上手にお付き合いできない場合、薬物などに安易に手を出すことも考えられます。ストレスマネジメントスキルは、ストレスに対する自己管理を効果的に行うようにすることを目的とした働きかけであり、ストレスの本質を知り、自己の特性、ストレス耐性を理解し、ストレスの成立を未然に防ぐ手段を習得することです。 言葉で説明するのは難しいと思います。図で示すと以下のような感じです。 これがライフスキルコーチングのベースとなるライフスキルです。 次は、 第2回 技術指導するだけでいいの?? ~ライフスキルコーチングの必要性~ こちらからどうぞ