ライフスキル教育

~指導者・保護者の観点から~

第7回  他者を理解し、対人関係を高めよう!

~感謝する心・謙虚な気持ち・考える力~ 皆さんこんにちは。 5月に入りました。まだまだ気温の差が激しく、スポーツをする立場からしても体調管理が難しい時期になりました。しかし、この時期は爽やかな風が吹きスポーツをするには最高の季節と言えるのではないでしょうか。 新入生も入部し、初々しい姿を見るとこちらも清々しい気持ちになり気持ちが引きしまります。 今回は日本の心「おもてなし」を通して他者を理解し、対人関係を高めるお話しをしたいと思います。「おもてなし」とは、旅館やレストランまたは自宅に招待するときなど客に対する心のこもった接遇、歓待、サービスなどを意味する表現です。滝川クリステルさんが2020年のオリンピック・パラリンピックを東京へ招致するため、IOC総会において最終プレゼンテーションをした時に注目された言葉でもありますね。「おもてなし」とは、「もてなし」に丁寧の「お」をつけた言い方で、「もてなす」とは歓迎や迎え入れるといった意味合いの動詞である「もてなし」の連用形が名詞化したものだそうです。 本学サッカー部の取り組みの特徴的なひとつに「おもてなし」があります。本学で行われる試合に来られる相手チームや保護者等関係者に対しての対応も活動の1つとして取り組んでいます。 私が以前関東遠征に行った際に、強豪である数チームの学生の対応にあまりに驚いた過去がありました。その日はその大学の合宿所に泊まらせていただいたのですが、翌日の試合を他大学で行うため早く出発しなけれなりませんでした。早朝5時過ぎ合宿所を出発しようとすると、既に入り口で朝食をお弁当に準備してくれている学生が待ってくれていたのです。驚きと感動で目頭が熱くなりました。感謝の気持ち一杯で出発したのですが、話はそこで終わりません。次に、試合をする大学に向かっていたのですが、案の定首都高速道路が渋滞し、昼過ぎのキックオフの時間に間に合いませんでした。すると、そこの学生も素早く対応してくれて、関西からわざわざ来てくれたということで、全力でおもてなしをしてくれたのでした。試合後、相手監督に平謝りし学生の対応のすごさに脱帽したことを伝えました。もちろん試合内容も完敗で手も足も出なかったのですが、その監督さんは「我々は大したチームではありません。このような活動しかできませんから。」とおっしゃられました。言葉が出ませんでした。就職の場で、「体育会の学生が人気」というフレーズはまさにこのようなチームの学生の事を言うのだろうとすごく感じました。 話しは長くなりましたが、このような経験から本学サッカー部にもこの「おもてなし」を取り入れ人として成長していこうと取り組み始めたのがきっかけです。 さて、この取り組みをして数年が経ちました。先日グループワークでこの活動に対してのグループワークをしたところ、以下のような意見が出てきました。 誰かが誰かを思いやる心「思いやり」の精神が、おもてなしを支えていると考えられます。 48つのグループに分かれ、いろいろディスカッションしていると学生から良い意見がたくさん出てきました。 これらの意見からもわかるように、アスリートに必要なライフスキルのうち、「感謝する心」 ・「考える力」・「謙虚な気持ち」の3因子に大きく関連していくと考えられます。 1つ目の「感謝する心」についてですが、感謝してもらうことがどれだけ自分にとって嬉しいか実感できます。今までの苦労を「ありがとう」の一言で全て救われた、とおっしゃる方も大勢います。感謝される喜びを知ると、感謝する心がいかに大切かを知ることになります。 2つ目の「考える力」ですが、まず相手の立場にたっておもてなしをする必要があります。 考える行動は先々の行動も早めます。どうすれば喜んでいただけるのかを想像することで、いろんな考えが必要になります。 3つ目の「謙虚な気持ち」ですが、そもそもおもてなしの行為自体が謙虚な気持ちでなければできません。相手に喜んでもらうことを考えて謙虚に行動することで、信頼関係も生まれてくるのではないでしょうか。 このような行動自体は良いとわかっていても中々実践できないのが今の学生なのでしょうか。知識を行動に変えていくことが今後の課題となります。 これからも、常に相手の立場になって考え行動することでさらなる人間力を高めていくことにつなげてほしいと思います。学生の言葉を抽出すると、これらの行為の積み重ねが、「伝統や誇り」となっていくのではないでしょうか。 次回は、 第8回 フェアプレーの重要性