ライフスキル教育
~指導者・保護者の観点から~
第8回 フェアプレーの重要性
皆さんこんにちは。
すっかり寒くなってきましたね。夏が過ぎ随分間が空いてしまいました。あの暑さはいったいどこにいってしまったんでしょうね。今年の夏は、本当に暑かったですね。近年の暑さは、私たちの学生の頃と比べても異常なくらい気温が高いですね。熱中症にならないよう、暑い時期は長期オフ、また練習も夕方に行うなど苦慮しました。選手のことを第一に考えた場合、この酷暑でトレーニングするというのは、拷問と同じですね。昔と違って「追い込む」なんてことはもう古いのかもしれません。そもそもこの暑さでは追い込むこと自体ナンセンスです。
今回はフェアプレーについて話をしたいと思います。今スポーツ界では、指導者によるパワハラ、選手によるラフプレーに対して世間からのバッシングがとても強まっています。もちろんパワハラやラフプレーはもってのほかです。絶対に許されません。これらの要因は、勝つことだけが優先され、スポーツの大事な要素が忘れられていると思います。日本も競技ごとにプロ化が進み、競争が激化しています。もちろん、競争なくしては世界から取り残されるだけですので、それ自体はとても大切なことであると思います。要は、その競争までのプロセスに問題があるのです。しっかりと人を育て、やる気にさせ競技するという順序が守られていないと思います。指導者からの誘導により、選手が自主自立の精神を持ち合わせなく競技が行われると、前述のようなことが表面化してしまうのです。例えば、コンタクトプレーの多い競技では、試合はすごく激しくなります。相手選手への暴言、レフリーにリスペクトを欠いた行動、ベンチからの罵声等、試合を通してこのようなことが随所に見受けられます。とにかく、静かに試合が終わることは、まずないと言っても過言ではないでしょう。東京オリンピックを控え、世界の選手と対等に戦い、また日本のスポーツ力をアピールする今こそ、しっかりとしたチームマネジメントが必要となってくるのではないでしょうか。
ここで、なぜフェアプレーが重要であるかを考えたいと思います。団体競技では、スポーツを通して学べることはたくさんあります。世間で言われる一般的な評価として、体育会出身者は粘り強い、多少理不尽なことでもやる、礼儀作法がしっかりしている、授業・アルバイト・練習等日々忙しい生活を送ってきただけに時間調整ができる等企業受けすることが多くあります。
学生に「スポーツを通して学べることは?」とグループワークしたところ、以下のような答えが返ってきました。

一般的な常識に加え、主体性や芸術性、表現力等スポーツをすることで、多くのことを学ぶことができると考えられます。また、元日本代表前監督のイビチャ・オシムさんは、「サッカー人生は短いが、人生を短縮したような濃密な経験ができる。」とおっしゃっています。このような経験を社会で発揮できれば、より豊かな人生を歩むことができるのではないでしょうか。
一方で、スポーツには攻撃性が備わっています。サッカーの場合、相手かゴールを奪う、ボールを奪い取る、激しくコンタクトする、相手の良さを消しに行く等がその例である。スポーツには勝ち負けがあります。特に、この試合は絶対に負けられないと意気込んで試合に入ることがあります。このような極限状態は、さらに人間形成に必要なフェアプレーを崩すことがあります。例えば勝利を追い求めすぎることで生じる、自己利益優先によるモラルの低下、ルール違反、暴力、マナー違反、リンチ、しごき、ドーピング、八百長。これらの悪行を引き起こす可能性が高まります。
このように、スポーツをすることで良い面だけでなくマイナス面での要素も顔をのぞきはじめます。スポーツを行うことで、より心身ともに成長していくためにも、フェアプレーの精神を重んじなければ、スポーツをすることでかえって弊害が生じることになってしまいます。育成年代から、指導者や保護者自身がフェアプレーを遵守し、子どもたちにしっかりと伝えていくことが望まれます。
最後に、フェアプレーの重要性について学生に一通り話をした後、学生自身がグループワークで意見を出し合わったのが以下になります。

アスリート自身が、自分の言葉でフェアプレーについて考え、実践することが大切になります。これらの要素がチームコンセプトとして浸透し、充実した活動になっていくことを切に願っています。
次回は、
第9回 やる気を高めるには
です。